第 153 回 PTT のお知らせ

5月のPTTは,東京大学(本郷)でおこないます.先月は,大正大蔵経で盛り 上がりましたが,今回はどうでしょうか.


日時: 1990年 5月 16日 (水) 18:30 から

場所:東京大学工学部 6号館中会議室

(地下鉄千代田線根津駅下車徒歩10分.または地下鉄丸ノ内線本郷三丁目駅 下車徒歩10分)


話題: 並列型OSの構成方式

話者: 中山 泰一 (東京大学工学部)

内容:

システム内部で並列処理を行うOSのことを,並列型OSとよぶ.通信で 結合された軽量なプロセス集合体を用いて並列型OSを設計し,疎結合型マル チプロセッサ・システム上に実現した.実現したシステムの構成方式と性能評 価を中心に発表する.


食事:17:00までに,03-812-2111 ext.7410 今井迄.


次々回: 1990年 6月 13日 (水) 電通大 (予定)

葉書の残りは 枚です

差出人、幹事:
113 文京区本郷 7-3-1
東京大学工学部計数工学科  岩崎英哉
03-812-2111  ext. 7411
iwasaki@wadalab.t.u-tokyo.ac.jp

第 153 回 PTTメモ


日時: 1990年5月16日(水)
場所: 東京大学工学部計数工学科中会議室
題目: 並列型OSの構成方式
話者: 中山 泰一(東京大学工学部)
出席者: 岩崎 英哉(東大・工) 多田 好克(電通大) 永松 礼夫(東大・工) 寺田 実(電通大) 田中 哲朗(東大・工) 武内 和昭(電通大) 長橋 賢児(東大・工) 森山 茂男(電通大) 田胡 和哉(日本IBM) 鈴木 悦子(津田塾大) 金澤 裕治(富士通研) 小川 貴英(津田塾大) 鈴木 茂夫(キャノン) 早川 栄一(農工大・工) 伊知地 宏(富士ゼロックス) 石畑 清(明大・理工) 佐口 泰之(富士ゼロックス) 乾 成里(日大・理工) 清水 和久(日本電気ソフトウェア)
概要:

計数工学科森下研究室において研究されているテーマの中から、今回の PTT では次の2つについて報告させていただきました。(1)は中山、 (2)は田胡(本年3月まで森下研究室助手)が話しました。

(1)並列型OSの構成方式

システム機能自体が並列化したOSのことを、並列型OSとよぶ。疎結合型マ ルチプロセッサ・システムを対象とし、プロセス・ネットワーク方式を用いる 並列型OSをインプリメントしてその性能を評価した結果を報告した。

プロセス・ネットワーク方式では、相互排除アクセスされる資源の各々に 軽量なプロセスを配置し、それらを同期式のメッセージ通信で結合することに よりシステムを実現する。本方式によるOSの構成法には、(i)設計、保守が容 易である、(ii)異機種への移植が容易である、(iii)疎結合型マルチプロセッ サ・システムに自然な形で適用できる、という利点に加えて、(iv)OSに内在す る並列性が自然な形で抽出できる、という利点があると考えられる。

すなわち、OSは一群のシステム・プロセスのネットワークとして構成され ているので、これらのシステム・プロセスをマルチプロセッサ・システムの各 ユニットに適切に配置することにより、(i)OSのシステム機能自体の並列実行、 (ii)OSのシステム機能と利用者プログラムとの並列実行、が実現できる可能性 がある。これにより、システム・コールの応答時間が短縮され、利用者プログ ラムの実行時間が短縮される可能性がある。

試作システム上において種々の配置について実験を行った。実現したシス テムは、広く実用されているUNIXと互換性をもつ。実験の結果、利用者プログ ラムの処理時間が30%程度短縮され、システム内部での並列処理により処理性 能が向上することが確認された。

(2)共有メモリ型マルチプロセッサのための並列実行環境

共有メモリ型マルチプロセッサによる並列処理を実現するための、効率の よい実行環境の実現方式について報告した。

本方式は、並列処理単位が頻繁に生成消滅する系に適しており、その基本 的なアイデアは、実際にプロセッサが割り当てられるまで大きなコンテクスト を生成することを遅らせること、および、1度生成したコンテクストは繰り返 し利用することにより、無駄な生成/消去の労力を小さくすることにある。

このために、応用プログラムによる並列実行可能な単位の生成と、新たな コンテクストの生成を区別して扱う。並列処理可能な単位をアクティビティと 名付ける。生成されたアクティビティは、プログラムの入口点アドレスと引数 ポインタのみの少量のデータで、キューに蓄積される。あらかじめ生成された 少数の(ここでは、UNIXの)プロセスがキューから取り出して実行することを繰 り返す。この方式に基づいた実行環境を実現し、その有効性を検討した。

参加してくださった方々には、夜遅くまで議論していただき、数多くの貴 重なご意見を得させていただきました。今後も、システムの改良、より詳細 な評価方式の検討を行っていく予定ですので、よろしくご指導のほどお願い いたします。

	           計数・森下研 中山泰一
                   工学系研究科情報工学専攻