第 199 回 PTT のお知らせ


日時: 1994年 7月14日 (木) 18:30 から
場所: 東京農工大学 工学部 7号館(数理情報工学科棟) 1E室 中央線東小金井駅 南口下車 徒歩10分 モスバーガー前の道を南下、右手に地蔵のある四つ角を右折後直進にて 工学部東門。左方建物裏手に7号館あり(東門に案内板あり)。
話者: 西村恕彦(工学部 電子情報工学科 コンピュータサイエンスコース)
題目: 手続き言語の動き
概要:
手続き言語は,手続き的であるという重大な難点がある。その批判は,
関数言語や宣言言語の設計の形でもなされてきた。にもかかわらず,プ
ログラム言語の世界における手続き言語の重要性は,減少はしていない。
ここでは,筆者が設計・標準化に直接に関与してきた三つの言語,
Fortran,COBOL,BASIC をとりあげて考察する。これらの言語の当初の
開発目標に対して,現状はどうだろうか。
 Fortran は,科学技術計算をプログラムするための唯一の言語である
とともに,配列演算,パイプライン,浮動小数点演算,最適化などの技
術と密接に相互作用を保っている。これらの技術のモデルであり,ベン
チマークである。
 COBOL は,電子計算機の時間の大半,蓄積されているプログラムの量
の大半,開発された大規模システムの大半に寄与している。COBOL の設
計は,バイトマシン,入出力ファイルの(論理・物理)構造,パッケー
ジソフトウェア,データベース,事務システムなどに対して,有効なモ
デルを提供している。
 規格化された BASIC は,単一の数値型,配列演算,図形処理,実時間
機能,モジュール機能など固有の特徴をもっている。それらが,初心者
教育から大規模プログラム作成にまで,段階的・連続的に利用できるよ
うに構成されている。
 これらの言語は,それぞれの独自性以外では,共通の特性を共有しは
じめている。なかでも,モジュール機能,有効範囲,整構造化機能の共
有は,これらの概念,技術が,プログラミングにおいて必須であること
を示すとともに,その進歩が収束しつつあることを示唆する。