第 261 回 PTT のお知らせ


日時: 2000年7月27日(木) 18:30 から
場所: 電気通信大学IS棟2階中会議室(215号室)
       新宿駅より京王線,調布駅(特急で2つ目,15分) 北口下車,
       北西方向徒歩12分程度.交通案内は
       http://www.uec.ac.jp/acc/map.html
を参照してください.IS棟については正門の守衛さんに
       聞くか,http://www.uec.ac.jp/acc/campusnai.htmlの29番の
       建物の位置をを記憶するのが良いでしょう.


題名: メタスケジューリングおよび資源情報サーバに関する研究について
話者: 小出 洋(日本原子力研究所 計算科学技術推進センター)
概要:
近年,盛んに研究されているメタコンピューティングは,ネットワークで接続 された並列計算機,ワークステーション,データベース等から構成される分散 コンピューティング環境を,科学技術計算などの高速化や大規模化等の目的の ために効率的に利用する技術である.

メタコンピューティング環境は,異なるアーキテクチャの計算機から構成され ており,計算機やネットワークの負荷が時間的に変動する特徴を持つ.このよ うな特徴を持つメタコンピューティング環境においてもタスクやジョブを効率 的に実行できるスケジューリングシステムが必須とされている.,日本原子力 研究所と早稲田大学では,メタコンピューティング環境におけるタスクスケジュー リングの問題に焦点を絞って研究を行っており,並列計算機クラスタ COMPACS (COMplex PArallel Computer System) 上で, メタコンピューティング環境の 特徴に対応するメタスケジューリング,および,メタスケジューリングの実現 に必須である資源情報サーバの開発,評価を行っている.

本研究発表では,メタスケジューリング,資源情報サーバ,およびそれらの試 験環境の概要,開発状況,評価結果について報告する.


第261回 PTTメモ


日 時: 2000年 7月27日 (木) 18:30 から
場 所: 電気通信大学IS棟2階中会議室(215号室)
出席者: 長慎也(早大),和田英一(富士通研究所),伊知地宏(富士ゼロックス), 村松正和,多田好克,田中良,山田浩之,福田伸彦,鷲谷公憲, 坂本茂,豊泉敦也,中村嘉志,磯貝悟,盆山暢彦,森本武資, 宮澤慎一,鈴木信吾,小藤哲彦,佐藤喬,長谷川龍弘,佐藤雅大(電通大), 村山慎也(),堀井啓真(東工大),佐々木崇郎(),副田俊介,丸山一貴, 田中哲朗(東大)
題 目: メタスケジューリングおよび資源情報サーバに関する研究について
話 者: 小出 洋(日本原子力研究所 計算科学技術推進センター)
概 要:
近年,盛んに研究されているメタコンピューティングは,ネットワークで接続 された並列計算機,ワークステーション,データベース等から構成される分散 コンピューティング環境を,科学技術計算などの高速化や大規模化等の目的の ために効率的に利用する技術である. 分散コンピューティング環境は,異なるアーキテクチャの計算機から構成され ており,計算機やネットワークの負荷が時間的に変動する特徴を持つ.このよ うな特徴を持つ分散コンピューティング環境においてもタスクやジョブを効率 的に実行できるスケジューリングシステムが必須とされている.日本原子力研 究所と早稲田大学では,分散コンピューティング環境におけるタスクスケジュー リングの問題に焦点を絞って研究を行っており,並列計算機クラスタ COMPACS (COMplex PArallel Computer System) 上で, 分散コンピューティング環境の 特徴に対応するメタスケジューリング,および,メタスケジューリングの実現 に必須である資源情報サーバの開発,評価を行っている.

最初に,逐次プログラムを分散コンピューティング環境において並列分散実行 することにより,実行時間を短縮するメタスケジューリング手法について報告 した.メタスケジューリング手法では,その準備段階において,早稲田大学で 開発したOSCAR マルチグレイン自動並列化コンパイラにより,逐次プログラム をコンパイルし,マクロタスク,つまり,サブルーチンやループ等の粗粒度タ スクに分解し,マクロタスク間の並列性を表すマクロタスクグラフと動的スケ ジューリングコードを自動生成する. 実行段階では,動的スケジューリングコードは,コンパイル時に得られた各マ クロタスクの実行時間やマクロタスクグラフ等の静的情報と資源情報サーバか ら与えられるプロセッサやネットワークの負荷等の動的情報の両方を参照し, CP/ETF/MISF (Critical Path/Earliest Task First/Most Immediate Successors First) for Meta-scheduling アルゴリズムを使用して,全体の実 行時間が最小になるように各マクロタスクを最適な並列計算機に割り当てる. このメタスケジューリングの概要について説明し,性能評価の結果,実験シス テムである COMPACS のサブセット上で Hybrid3d のマクロタスクを効率的に スケジューリングできたことを報告した.Hybrid3d は,トカマクプラズマの 挙動を解析する 3 次元の粒子/電子流体の連成コードであり,実際的なシミュ レーションプログラムのひとつである.

つぎに,分散コンピューティング環境上のプロセッサやネットワークの負荷な ど計算資源に関する情報(資源情報)を収集し,それをもとに将来の値を予測す る資源情報サーバについて報告した.メタスケジューリング手法のように,ひ とつのプログラムの実行時間の最小化を目的とするスケジューラはプロセッサ やネットワークの負荷予測に基づき,動的にタスク割り当てを行うため,資源 情報サーバは必須である.現在,高速と高精度の 2 種類の資源情報予測を行 うモジュールが資源情報サーバに実装されている.高速予測モジュールは,予 測を行う時点の最近接過去に記録された資源情報だけを使用し,将来の資源情 報の値を迅速に予測する.高精度予測モジュールは,予測時点の最近接過去の 資源情報の変化と類似した負荷パターンを過去のデータから検索するため,予 測時間を要するが,より高い精度で資源情報を予測することができる.要求精 度と予測時間に応じて,これらのモジュールを使い分けることにより,将来の 資源情報を効率的に予測することができる. 資源情報サーバにおける,資源情報の計測と予測方法,システム構成について 説明し,高速,および,高精度モジュールの予測時間と予測方法に関する評価 結果に関して,高速予測モジュールは,迅速に近い将来の資源情報を予測する ことができ, 高精度予測モジュールは,直後以外でも高い精度で予測が可能 であるという報告を行った.

最後に,メタスケジューリング,および,資源情報サーバで利用している,異 機種並列計算機間通信ライブラリ Stampi の紹介を行った.


質疑応答:
Q. LAN ではなく,都市間や大陸間などに分散した計算環境においても,メタ スケジューリングは適用可能か?

A. まだそのような環境で試験を行っていないが, メタスケジューリングは,ネットワークの遅延も考慮してスケジューリン グを行っているため,適用可能であると考えられる.

Q. OSCAR コンパイラが予測するタスクの静的計算時間の精度はどの程度か? 資源情報サーバの予測精度との比較のため知りたい.

A. ループや IF 文を含まなければ,システムクロック単位に近い精度で求め ることができる. また,ループや IF 文を含む場合も,データ依存解析や制御依存解析から マクロタスク間の相対的な実行時間を求められる場合が多い.

C. 資源情報サーバの評価は,メタスケジューリングのアプリケーションを実 行して行うべきではないか.

この他,核融合炉研究に関する話題もありました.